自転車入門―晴れた日はスポーツバイクに乗って (中公新書 1926)



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自転車入門―晴れた日はスポーツバイクに乗って (中公新書 1926)
自転車入門―晴れた日はスポーツバイクに乗って (中公新書 1926)

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自転車の居場所

私も若い頃はそこそこいい値段のMTBを買って街を乗り回していたこともある。
だが、最近は車か歩くかどちらかで、自転車については危険運転が目立つだけに憤りを感じこそすれ親しみを感じることは正直あまりなかった。
通勤途上、中学生の自転車に背後から衝突されたこともある。その際は相手が平謝りだったがすぐに走り出して去っていたので「あぶねえな、気をつけろ!」と珍しく声を荒げてしまった。
別の日は高齢の父が歩道を歩いていて前方のおばさんを追い越そうとしたときに背後から高校生の自転車にぶつけられ、謝りもしなかったとのこと。「謝るくらいしろ!」とどなったところ、その高校生は「そこのばばあが悪いんだよ!」と捨て台詞を残して走り去ったとか。
ともかく自転車道が整備されていない日本において自転車を乗り回すのは社会的なルール違反なのではないか?という疑問があっただけに、自転車のありようについてどういう見解を持っているのだろうか?というちょっと意地悪な視点でこの本を読んだ。
結論から言うと、「この著者のような自転車乗りばかりならいいのにな」と思った次第。自転車が歩道を走る際のルールなど、常識をわきまえた記述が気持ちよい。
まあ、あたりまえのことだけど、自転車が悪いんじゃなくて、乗る人のマナーが悪いのだ。もちろん、自転車道の整備が進めば歩行者に衝突することも、車に衝突されることも少なくなるのだろうけど、まずは最低限のルールを守り、歩行者という弱者に対する思いやりをもつことが大切なのだ。
初心者の気持ちを踏まえた入門書

自転車生活の入門書は数多あるが、どれも似たような内容で初めての人の気持ちに応えていないところがあった。しかし本書はちょっと違う。

自転車を買うところでは、著者の衝動買いによる失敗談が披露され、それから納得のいく自転車に行き着くまでの過程がわかりやすく説明されている。これを読めば読者は最初の失敗をせずに愛車にたどり着けるだろう。

また、サイクルショップで質問したら馬鹿にされるかも、と聞くのをためらってしまいそうな素朴な疑問も、どうやって調べ、どういうことだったかを自分の経験として語ってくれている。
類書の中では抜群の初心者向け「自転車入門書」だ。

中公新書の地味な装丁なので、カラー写真を使った派手な外見の本のように人目を引かない。外見からは楽しさが覗えないし新書の棚に置かれていたらたぶん見過ごされるだろう。その点だけは企画の失敗だと思う。
でも、買った人の満足度はかなり高いはずだ。
羽ばたけ中壮年!!

発売早々面白く読みました。
満員電車に揺られ、靴をすりへらし、万歩計を気にし、酔っ払って遅く帰る中壮年への新しい世界へのいざないといっていいでしょう。土日はゴルフと「ごろ不」で過ごす我々へ新しい地平を教えてくれます。サイクリングという言葉は我々中年には一寸甘酸っぱい気持ちと女子供の遊びという印象が強い。しかし近年のスポーツサイクルは、季節の風を感じて50km?100kmを走り抜くという自然のなかで達成感を感じるとメンタルな効用と、メタボリック症候群(いやな言葉ではあるがこの本のせいではない)の改善の両方の効果が期待できる。
また、スポーツサイクルは銀座、新宿の路地裏と駅までの道しか知らない我々に自宅から半径50kmの新しい発見を見つける楽しみを教えてくれそうだ。これから日が長くなり春に向かう季節、絶好のスポーツサイクルへの招待の本である。



中央公論新社
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