残酷な物語
1997年に太田出版から出た『マニラ行き』の改題・文庫化。
フィリピンにはまってしまい、「身を持ち崩した」日本人たち6人が取り上げられている。女にはまり、騙されて、日本から逃亡してといった陰惨な話が多い。読んでいて憂鬱になる。しかし、なによりも迫力があってすごい。また、フィリピンでの6人の暮らしは意外に明るく楽しそうだ。
でも、怖い。
野次馬主婦の夢
フィリピンに飲み込まれた男たちを描くという視点はありがちであるが面白いと思う。しかし、彼らを見つめる視点がとても稚拙で野次馬的な主婦に毛が生えたような印象しか受けないし、文章にも隙がありすぎて読んでいて緊張感がまったく持続しない。第一の問題は、全編を通して著者のコンセプトが明確でないことだと思う。著者はフィリピンに飲み込まれた男たちというありがちなアイディアだけで、本を売ろうとしたのではないだろうか。確かに、フィリピンにはまった男ならこの本を書店で手に取りかねない。もう一つの問題は、描かれている男たちはそれなりに個性的な人々なのだろうが、彼らの面白さを十分に生かしきれていないところである。単純で深みのない著者の価値観ですべての人々の個性が編集され塊??坦なつまらないものになっているようだ。 私にとってプラスに働いたことはといえば、本を書くにはそれなりの精神修養がやっぱり必要なのだと気づかされたことだ。
この本を手にした時点で”はまっている”?
書かれている内容は、いったいいつの時代なんだろう? 80年代なのか90年代なのか・・・。 日本の現実との乖離が大きく、不安になりました。 書かれていることがフィリピンのすべてではないと思いますが、普通の人の日常の多くに、日本人がそのまま”飲み込めない”事実やメンタリティーがあるように思いました。 しかし、この本を手に取る人はどんな人なんだろう? きっと貧乏旅行好きの人か、”はまり始めた”人なんだろうな。 自分はどちらなんだろうな・・・
人生いろいろ。
この本には、フィリピンに心を奪われて現地化して生活している日本人を、日本人の常識的な目で見たレポートが綴られている。そして人間、どんな苦境にあっても、フィリピンの包容力の中で生きていけるのだなぁ、と感心してしまう。 熱帯のゆったりした時間に身を任せてみたくなる。
蘇ったマニラでの生活
かつてマニラにいた事があった関係で、マニラとかフィリピンという言葉がタイトルとなっている本を読んでいる。 この本には、フィリピンに心を奪われて現地化して生活している日本人を、日本人の常識的な目で見たレポートが綴られている。一度でも現地に行った人間だと書かれている一つ一つに「そうだったよなぁ」と相づちを打ってしまうのだが、行った事の無い人に、書かれている内容がどれだけ伝わるかは微妙な問題だろう。もっと突き放した客観的な目で書くか、あるいはもっとどっぷり現地に漬かった気持ちで書いた方が良かったかもしれない。 現地に住む日本人、必ずしも男性だけではない。著者は同性である女性についても書いてみてはどうだろうか。
太田出版
死んでもいい―マニラ行きの男たち マニラ行きのジジババたち そんなアジアに騙されて マニラ不思議物語 フィリピーナ愛憎読本
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